●時折、「これからインドに行くのですが……」というメールを頂きます。先ず、「ホームページを興味深く……」という前置きが1、2行あって(笑)、待ちきれないとばかり、自分は不安であること、そしてたくさんの質問が書かれています。こういう類のメールは、むしろ友達のインドのサイトによく寄せられるのですが、時にその彼女と同じ質問のメールが届いたりなんてこともあるわけです。
●そういう訳で、役に立つかどうかは別にしてFAQならぬ、OAQ(まあ、言っても質問メールはたまにしかこないんですけど……)を作ってみようと思った訳です。
●不安な気持ちは良くわかります。「本に書いてあることってどうなのよ実際」なんて思いますよね。やっぱり最新の情報でないと……ってのも。まあ、でも帰ってくる答は大体一緒だと思いますよ。インド旅行記に書いてあることは、旅行に行けばたいていの人が経験することがほとんどで、「物書き」だから特別な目に遭うなんてことはないわけです。
●ぼくは人に意見するほど、インドのことなんて知らないですけど、なんかの参考にでもなれば幸いです。別にね。めんどくさい訳ではないんですよ。いや、ちょっとめんどくさいんですけど、本音を言えば。でもね。「カメラを持っていっても平気ですか?」という質問はどうでしょう? どう思います? じゃ、たくさんのインドのホームページに張ってある写真は一体どうやって撮ったんでしょう? まあ、本には「カメラは持っていっても大丈夫」なんて書いてないですけどね。
●でもまあ、こんなOAQはきっと役に立たないでしょうから、そんなときは、サクッと質問メールでもください。

2002.March.●text/ani  ●photo/enjyu ●adovice/enjyu

はじめに〜 質問以前の基本的問題

 「インドったってあなた、未開の地ではないんです
ハッキリ言うとぼくは、実際に行ってみるまで誤解してました。だから、初めてインドに出かける時の覚悟ったら、「お母さん。先立つ不幸をお許しください」的なものでした。お部屋をキレイに掃除して、もしものことがあって、見つかったら恥ずかしそうなモノどもを捨て、普段電話もしたこともない友達にさりげなく挨拶をして……と。だから、あなたが不安な気持ちもよーくわかります。 でも、まあ。行ってしまえばわかることですが、インドだって、たくさんの人々が社会生活を送る国なのです。そこまで誤解してるのは、ぼくぐらいなものでしょうが、まず一番最初にそこんとこを踏まえてもらって(蛇足ですか?)、以下だらだらと長いOAQを読んでみてくださいませ。

■現在ある質問へのリンク

Q:インドに行って生きて帰れる?
Q:女の子の一人旅は?
Q:カメラ持ってて大丈夫?
Q:インドの食べ物って…?
Q:持ち物は?
Q:薬については?
Q:やっぱり危険なの?
Q:あんたはインド好きなの?
Q:もう一度行きたい?

   

 



■質問 & 回答編

Q:インドに行って生きて帰れる?
A:帰れます。
  • これは大問題ですね。中には「死んでもいいからインドに行きたい!」なんて方もいるかもしれませんが、そんな人はインド旅行のトラブルなんてものについて調べたりしませんね。ってことは確実に帰りたい人が、このOAQを読んでいるわけです。「死んで花実が咲くものか」、帰ってこそ自分の旅行話も友達に面白おかしく話して聞かせられるというもんじゃないですか!! 
     さて、インドに行った人はもちろん普通は無事に帰ってきます。でもたまに、自分でそうしているのか、なにか事件に巻き込まれたのか帰ってこない人がいるのも事実です。日本の安全神話とやらもとうに崩れ、今日本も危機管理という言葉が盛んに叫ばれています。自分の身はとにかく自分で守りましょう。でも、ぼくの個人的感覚では、デリーやアーグラ、カルカッタなどよっぽどの観光地や都市を除けば、日本なんかよりも安心していられる雰囲気ではあります。ヨーロッパ、アメリカ観光なんかよりも安全なのでは?
Q:わたしは女のコ。独りで旅できるかしら?
A:女のコの独り旅は、かなり見かけました。
  • 狡い答ですね。でも、できるかどうかは全く本人しだい。男も女もありません。よくガイドブックに書かれてますけど、ノースリーブとかでふらふらってのは、止めた方がいいかも。痴漢が多いとか、インドの男はなれなれしく触ってくるようですね。まあ、みんながみんなという訳ではないでしょう。ぼくは、ブッダカヤに行くときに女のコの独り旅と遭遇、ブッダガヤで2日ほど、行動を共にしました。というわけで、独りで行っても日本人はたくさんいます。慣れるまで、不安な時は誰かと行動を共に、というのが賢いかと思われます。
Q:インドにカメラを持っていっても大丈夫でしょうか?
A:もちろん大丈夫です。ただ、盗難には気を付けてください。
  • 初めてのインド旅行。是非カメラを持っていってください。インドに行けばもう被写体には困らない。見るモノ見るモノ全てが不思議に感じられます。もう人生でこれ以上写真を撮ったことないゼってほど写真を撮りまくりましょう。でももし独りで旅行に出かけるとなれば、最初の内はカメラを出すのも憚られるでしょう。かくゆうぼくの場合3日目にして初めて、カメラを出すことができました。カルカッタ、忘れもしません、ハウラーの鉄橋です。日本人がカメラを構えていたので、その横でです。情けないですね全く……。
     そしてカメラはよく盗まれます。ほんのちょっと目を離したスキになんてことにならないように注意しましょうね。
Q:やっぱカレー? インドに行ったら毎日カレー?
A:毎日カレー味です。
  • インドカレーといってもそれこそ云千年の歴史です。バリエーションはたくさんありますし、店によって味もまちまちだったりします。カレーというのはまあ、みそ汁みたいなもんです。誤解があるといけないので言及しますと、みそ汁も豚汁だとか、けんちん汁だとか、アサリ、大根、豆腐、白菜、ワカメ……白味噌、赤味噌、合わせ味噌……と、もうたくさんあるわけです。で、カレーも又そんな風にたくさんあるんですね。ピラフのようなものもありますし。ただ、やはりというか何を食べてもみなカレー味です。カレー味ってのは語弊があるかもしれません。スパイスはまずなにを食べても入ってるんじゃないですかね。
     ぼくのことを言えば、カレーはほとんど食べませんでした。毎日毎日「チーズトマトサンド」と呼ばれるホットサンドとゆで卵、ベジタブルスープをバラナシいる2週間、3度の内2度は食べてましたね。だから、バラナシを発つ日、ゲストハウスのオーナーに「おまえはインドにチーズトマトサンドを食いに来たのか」みたいなことを言われました。ぼくは、カレーは月に1度でいい人間なんです。ということで、インドには、洋食も中華も和食もあります。ただ、高い。洋食中心の食事をしていると、宿代なんかよりも食事代がよっぽど掛かります。安く上げるのであれば、毎日カレーを食べましょう。
Q:どんなものを持っていったらいいの?
A:パスポート、ビザ、チケットとお金、ガイドブック、下着3組。
  • 大げさなことを言えば後は身一つでも大丈夫です。生活に必要なもので、向こうで手に入れられないものはないでしょう。しかし、これはあくまでも分かり易くという意味です。後は個人個人持ち物も変わってきます。キティーチャンの枕がないとどうしても眠れないのであれば、持っていってください。海外の著名な作家には、等身大の少女の人形をトランク絶えず入れて旅をした方もいるそうですよ。ピグマリオン・コンプレックスでしたか。そんなんだったと思います。ただ、ぼくの経験から言うと荷物の負担というのは、物理的だけでなく、心理的に負担になるんですね。壊れやしないか、盗まれないか、いざという時走れないじゃないか(どうして走るんですかね)……など。ですから、荷物は程々に。
     よく言われることですが、蚊取り線香は日本のものが断然効くようです。それと、小さな懐中電灯。アルミ製のアーミーレプリカの奴なんか、邪魔にならないですし、ポッケに入れるなりできるので、突然の停電に慌てないで済みます。個人的には、もう3つ、電動歯ブラシではなく、ボタン電池の入った歯ブラシ。イオンの力で汚れを落とすとかいうやつですね。あれは、歯磨き粉がいらない分荷物が減りますよ。2つ目は文庫本。ぼくは活字がないと困る人なのです。しかし、向こうにも日本の文庫の古本が売っていたりします。3つ目が、ウエットティッシュです。ぼくは持っていったことはありませんが、2度目の旅行で彼女が持ってきました。万が一向こうで友人になったインド人のお家に招待されて、手で食事をするはめにならないとも限りませんし、暑いときに顔や首をそれで拭くとヒンヤリしてとってもGOODなんですわ。ついでにトイレットペーパーについて言及しておくと、よっぽどのホテルでもない限り備え付けてありませんし、現地で買うと思った以上に高いらしいので、ひとつくらいあっても良いかもしれません、芯を抜いてつぶして詰め込みましょう。
     ぼくは、初めてのインドにたくさんの荷物を抱えて行きました。寝袋やコンロまで買い込んで、もう「冒険野郎原始林に行く!」てな重装備ですわ。でも、結局使わないものは、インドでお世話になった人にあげてしまったんですね。ですから、まあ、「MADE IN JAPAN素敵なプレゼント大会」と銘打った親善交流のため持参したいなんて人は、色々荷物を持っていくのもいいかもしれませんが、ほどほどの交流を望むのであれば、ボールペンやら100円ライターをお礼の品にすればいいと思います。まあ、電卓なんてのもいいお土産にはなると思いますが……。

  • 持ち物をまとめてみましょう。
    ■必要不可欠=パスポート×1、ビザ×1、飛行機のチケット×1冊(往復の人)、ガイドブック×?、お金(自分が必要なだけ)、下着×3組 ■あると便利=蚊取り線香×1箱、小さな懐中電灯×1、イオン歯ブラシ×1、文庫本×3、メモ帳×2、ウエットティッシュ×適量、トイレットペーパー×1ロール、帽子×1、カメラ×1 ■お土産(お礼に)=ボールペン×20、百円ライター×10、電卓×3

     
    これだけでも、小さなリュックひとつくらいにはなるんじゃないですか? これに各々必要不可欠なもの、キティーチャンの枕やら、少女等身大の人形やら加えると大変ですね。まあ、旅行ですから、普段の生活と同じという利便性なんて求めないでください。モノからの開放、不便さというのもまた旅行の楽しみではないですか、と言っても説得力ないですね。
Q:じゃあ薬とかは?
A:現地で買いましょう。
  • 持病があって、医者から毎日飲むように指定されている以外、例えば下痢、腹痛、風邪などの薬は現地で買うのが望ましいですね。なぜなら日本の薬は効きませんから。しかし、別に日本の製薬会社の批判をしているのではありません。「日本の風邪にはルルが効く」のコピーはあながち嘘ではないのですね。
     ぼくは、胃腸が弱く、日本では「太田胃散」やら「正露丸」やらにお世話になりっぱなしの人間なわけですが、この魔法セットもインドではからっきしなのでした。というのも、バラナシで酷い下痢に襲われた時のこと、この強力コンビをさんざん、もう二時間置きくらいに2日のみ続けましたがまったくダメでした。で、脂汗をかきながら、ホテルのフロントに頼んで医者に連れていってもらったのです。そこでなんだかよくわからない英語のやりとりをして、薬局でもらった真紅の怪しい錠剤こそ効果覿面。そりゃもう二時間後にはすっかり治ってしまうと言う恐ろしく強力な薬だったわけです。これは風邪についても言えることで、やはりバラナシで風邪をひきまして(体弱いですね)日本から持参の薬を飲んではみましたが一向に効かない。薬局で風邪薬を買い求め、それを飲んだらたちどころに良くなるという始末で……。ですから、日本の薬はインドでは効かないということです。ただ、旅行中に耳にした話ですと、整腸剤を持っていって毎日飲んでいるとすこぶるお腹の調子がいいとかって話は聞きました。不安な方は試してみる価値アリかもしれませんね。

    ※薬には飲み合わせみたいなものがあるので、もし常備薬があって、現地のお医者さんに薬をもらうときには相談しましょう。
Q:インドって正直なとこどうなの? 危険なのかい?
A:場所や時期によるでしょう。
  • 場所について言えば、北の方、カシミールなんてとこは、もうしょっちゅうパキスタンとのいざこざで、危険だとされています。写真なんかを見るともう行きたくて仕方ないのですが、危険と言われると……。実際向こうでインド人に聞いてみると大丈夫だという人やら、いや行かない方がいいという人やらまちまちです。デリーなどの都市についても、現在(2002/3月)では、アフガニスタン紛争の余韻、イスラエルでのイスラム過激派、イスラム教徒衝突の飛び火など、テロの心配が懸念されています。よっぽど運が悪いと爆破テロの巻き添えなんてことにもなりかねません。そしてそんな大きな危険を抜きにしても、都市というのは大・中・小と様々な危険に満ちています。まあ、ほとんどは小に属する問題なわけですが……。
     中でも一番やっかいなのは、着いて直ぐの空港からホテル迄の道のり。ぼくもまた、2度目のインドで手痛い歓迎を受けました。ハッキリ言って、プリペイドタクシーも信用なりません。どこから乗るかよくわかりません。ですから、一番のお勧めは、一泊目は豪勢に送迎バスのある高級ホテルに泊まるということ。或いはもう恥も外聞も捨てて、飛行機に一緒に乗ってきた人、頼り気のある人にお供させてもらいましょう。ガイドブックにもさんざん書かれていますが、もう空港にいるタクシーは最悪です。というか、デリーやカルカッタのタクシー、オートリクシャは信用なりません(トラウマ)。なので、さっさと田舎へ向かってください(笑)。田舎に行けばかなりいい。まあ、旅行者の一番の天敵がタクシーやリクシャであることには変わりないのですが、とにかく乗らないと移動ができませんので、人の善し悪しを見分ける、野生の勘というものが必要なようです。しかし、残念ながらぼくにはそれがない。
     リクシャやらのたいていの問題というのは、日本では考えられないことなのですが、指定した場所に連れていってくれない、乗るときの言い値と降りるときの料金が違うということです。昼間ならこれくらいは大したことがありませんが、夜はちと怖いです。特に指定の場所に連れていってくれないというのは、土地勘の無いぼくらには、ものすごく不安なわけです。インドのリクシャやタクシーは大抵運転手ともう一人、2人で乗っているので、尚のことです。2対1な分けですからそりゃ怖いです。ということで夜の外出は控えましょうね。
     また、商売人もなかなか油断のならない押しの強い営業マンばかりで手強いこともありますが、ぼく自身の経験では、それに関して危険な目には遭ったことはありません。
     バラナシのメインガートは商売人の巣窟。ボート屋、土産屋、マッサージ屋、ボートに乗れば花屋、ポン引き、麻薬、カーペット、サリー、数珠に宝石……。忍耐強くねちっこいセールスでグイグイ押してきますが、それはそれ、煩わしくもあり、楽しくもあり。しつこい勧誘に誘われて独り店へ連れて行かれると、買うまで帰さないなんて話も聞くので、まあ気を付けてくださいまし。
     でも、一般市民はいい人が多いですよ。ちょっとしたきっかけで知り合えば、「ご飯を食べにおいで」とか「家に泊まっていらっしゃい」とか、そりゃ歓迎してくれますし、商売人の中にも気さくな連中は大勢います。とにかく人なつっこいですね。だから余計に難しかったりするんです。
     「この人はいい人か?」ってのは、だからもう勘しかないわけです(笑)。閉じこもって疑ってばかりいてもつまらないし、誤ってついていって酷い目に遭うこともある。その辺がまた面白かったりするのかもしれません。そういう意味でインドってのは、人を見る目を養う場所なのかもしれませんね。

  • で、結論です。
    都市部や紛争地帯は危険です。都市部の危険は、しかし大抵、小さな問題です。そして田舎に行けば日本よりもむしろ安全なのかもしれません。
Q:で、あんたはインド好きなの?
A:好きです。
  • 嫌いであればこんな宣伝はしないでしょう。否、ぼくの場合とにかく書くこと自体に興味があるので、嫌いなりに書いたのかもしれません。
     インドは好きですが、ただインドだけが好きなのではありません。世界中の色々な国を見て回りたいのですが、なかなか……。はい、ぐうたらなんですね。ですから、未だタイをちょびっととインドしか見てません。ということで、インドじゃなきゃ嫌という人間でもありません。
     
    でも、面白い国であることは確かです。だいたい町中を牛が、のろのろなんて国、見当もつきませんでした。
     人々の目はギラギラしてるし、暑いし、いい加減だし、五月蠅いし、子供はかわいらしいし、食い物は旨いと思わないけど、なんか人が生きることに精一杯の国というのが、見ていて非常に微笑ましい。それぞれが、「一杯一杯だ!」というのを隠さず、それを格好悪いと思わず、そういう意味でとっても正直で、だから、小さないざこざは許せてしまえる国。クールってのは、ぼくはあんまり好まない人間だったりするんですね。きっとインドでも都会の人間はクールを気取ってるんだろうけど、あのリクシャ相手にそんな余裕もないのだろうなと思うと笑ってしまう。とにかく疲れるけど、思い出し笑いできる国。時間のスピードも日本よりゆっくりで、落ち着く。人間様なんて言うけど、ちっぽけだよあんたって、インド人ならみんなきっと知ってることなんですね。「はーい。ぼくはちっぽけです」ってインドでは大声で言えてしまう。だからそんなとこが好きですかね。
Q:また行きたい?
A:行きます。

 さて、こんなんでお役に立てるものか些かというか、大いに不安ですが、ひとまずこれにて。
 
あなたのインドが素敵なインドでありますよう願いを込めてペンを置かせていただきます。

 

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